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旭川地方裁判所 昭和55年(ワ)284号 判決 1982年10月29日

原告

小松実

被告

アメリカンインターナショナルアシュアランスカンパニーリミテッド

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一申立

一  原告

1  被告は原告に対し二、〇〇〇万円及びこれに対する昭和五四年六月二七日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに右1項につき仮執行の宣言を求めた。

二  被告

主文と同旨の判決を求めた。

第二主張

一  原告の請求原因

1  被告は本店を香港に、日本における営業所を東京に置き、毎上火災傷害運送航空保険及び右目的に附帯する一切の事項を業務とする会社であり、日本国内における被告の保険契約業務AIU株式会社に代行させていたものである。

2  原告は昭和五二年八月一六日被告(代行者AIU株式会社)との間に、保険契約者(被保険者)を原告、保険者を被告として次の保険契約(以下本件保険契約という。)を締結し、契約日以降所定の保険料の支払をした。

保険契約の種類 自動車保険

保険期間 自 昭和五二年八月一六日午後四時

至 同五三年八月一六日午後四時

被保険自動車 四九年式

日野キヤブオーバ四トンKL五四〇旭一一す四九九(車台番号KL五四〇二七九二〇)

(以下本件自動車という。)

担保種類 対人賠償 一億円

自損事故(身体)一、〇〇〇万円

対物賠償 三〇〇万円

搭乗者傷害 三〇〇万円

3  小松伸二(以下伸二という。)は昭和五二年一〇月一二日北海道常呂郡端野町一区七四二番地先道路上において、原告所有の本件自動車を運転し、直前車両を追越そうとして道路中央線を越え対向車線に進出した過失により、対向して進行してきた村上純一(以下純一という。)運転にかかる普通乗用自動車(北五み三六七七)に衝突し、よつて純一を即死させた(以下本件事故という。)。

4  原告は右事故により本件自動車の保有者として純一の相続人である妻村上豊梅、子同博一、同晴美に対し次の損害賠償義務を負担した。

(一) 純一の逸失利益 三、〇六六万二、六二七円

(二) 純一の慰藉料 八〇〇万円

(三) 村上豊梅の支出した葬儀費用 四〇万円

右(一)、(二)は純一の相続人が相続分に応じ三分の一宛相続した。

5  原告は被告に対し、右事故の発生をその翌日である昭和五二年一〇月一三日に通知した。原告及び伸二はその後純一の相続人から再三損害賠償請求を受け、その都度被告に対し右請求を受けたこと及びその内容を遅滞なく通知し、保険金の支払を求めたが、被告においてこれに応じない。

6  前記4の損害につき、純一の相続人に対し自賠責保険金一、五〇〇万円の支払がされた。

7  朝日火災海上保険株式会社は昭和五三年八月一八日前記4の残金二、四〇六万二、六二七円の内二、〇〇〇万円を純一の相続人に支払をし、純一との間の保険契約に基づき、右支払額の限度で純一の相続人が原告に対して有する損害賠償債権を取得した。そして、朝日火災は原告に対し右二、〇〇〇万円及びこれに対する昭和五四年六月二七日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める訴を当裁判所に提起した(昭和五四年(ワ)第一六号)。当裁判所は昭和五五年三月四日原告に対し、右朝日火災の請求どおりの金員の支払を命ずる判決を言渡し、右判決は同月一九日確定した。

8  よつて、原告は被告に対し、朝日火災から請求を受けている二、〇〇〇万円及びこれに対する昭和五四年六月二七日から完済まで年五分の割合による金員を、対人賠償保険金として支払を求める。

二  被告の答弁及び抗弁

1  請求原因1ないし7は認める。

2  抗弁

(一)(1) 本件保険契約についての自動車保険普通保険約款(以下本件保険約款という。)第四章一般条項第七条には次の定めがある。

第七条(保険契約の無効)

保険契約締結の当時次の事実があつた場合は保険契約は無効とします。

保険契約に関し保険契約者、記名被保険者(車両条項においては被保険者とします。)またはこれらの者の代理人に詐欺の行為があつたこと。

(2) 保険契約者である原告に、本件保険契約締結当時本件自動車の用途、運転者に関し次のような被告を欺罔する詐欺の行為があつたので、右約定により被告には保険金の支払義務がない。

イ 被告は昭和五二年八月一六日被告の道東道北代理店塚原清孝を通じて、原告との間で本件保険契約を締結したが、右契約に際し、原告は塚原に対し本件自動車の用途は自家用であり、これを運転する者に運転経験一年未満の者はいない旨告知した。即ち、原告は塚原に対し、「自己が営業所長として勤務している株式会社函館梱包社旭川営業所(同社は旭川地区では営業運送免許を得てない。)において、同社の車両だけでは倉庫までの客の荷物の集荷、梱包材料の運搬が間に合わないときに、補充的に本件自動車を使用する。その他では、原告が親戚の農家から野菜、米を積んでくる位で、いずれにしても自家用として使用する。本件自動車でいわゆる白トラ行為はしない。本件自動車の運転者は原告または右営業所勤務の者で手の空いている者であり、これら五名はいずれも運転経験一年以上の者ばかりである。」旨告知した。塚原は原告の右告知を信じて保険を引受けることとし、自家用貨物自動車の保険料率で本件保険契約を締結した。

ロ 伸二が本件事故を起した後、被告が調査したところ、次のような事実が判明した。即ち、伸二は年齢一八歳で、昭和五二年六月八日に普通免許を取得したばかりであつたし、本件事故当時伸二は新日本化学工業株式会社(昭和五四年四月河野建設工業株式会社と商号変更、以下新日本化学工業という。)代理人築舘保男の依頼により、土壌硬化剤一〇〇袋を本件自動車で旭川から標茶まで有償で運送することを請負い、本件事故の前夜に荷を積んで旭川を出発し、事故当日の早朝標茶に到着し、荷を降した後旭川に帰る途中午後零時四五分頃本件事故を起したものである。伸二は昭和五二年八月下旬から本件事故が発生した同年一〇月一二日までの約一か月半の間に、原告の承諾の下に、築舘の依頼を受け、旭川・上富良野間を馬鈴薯三〇キロ入り八二袋から一五〇袋を五、六回運搬し、また、新日本化学工業代理人築舘の依頼を受け、旭川・標茶間を土壌硬化剤一〇〇袋を二回運送し、その反覆性、運送距離、積載内容、積載量の点から、業として運送を行つていたものである。原告は昭和五二年一月築舘から本件自動車を代金一〇〇万円で買受け、同年二月から毎月五万円宛月賦で支払い、同年七月本件自動車の引渡を受け、原告において車検の切換手続をすませ、その頃から伸二に運転練習をさせていた。築舘及び新日本化学工業の依頼による運送について、右両名と原告、伸二との間では有償である旨の明示または黙示の合意がされていたが、車両代金が割賦払中であつたため、運送賃について事前の取決めはなく、昭和五二年一〇月中に一度締切つて運送賃を協議決定し精算する予定であつたところ、その前に本件事故が発生してしまつたのである。伸二は昭和五二年一月頃から自動車教習所に通い始め、同年六月八日普通免許を取得し、同年七、八月頃から本件自動車を、自己がアルバイトとして勤務していた函館梱包社旭川営業所への通勤のため使用していた。本件自動車が右営業所の業務に関して使用されたことはなかつた。

(3) 以上の事実によると、本件自動車は当初から原告により伸二のために購入されたこと、伸二が本件自動車を使用して徐々に実質上の運送請負業を行うことが企図されていたこと、その一環として、新日本化学工業の依頼に基づき本件自動車を有償運送の用に供していた際、本件交通事故が発生したものである。しかるに、原告はこれらの事実をことさら秘匿し、前記のような事実を告知して被告を欺罔し、本件保険契約を締結させたものである。原告の右行為は、保険契約締結の当時保険契約者に詐欺の行為があつたときに該当し、本件保険契約は前記(1)の約定により無効である。

(二)(1) 本件保険約款第四章一般条項第三条には次の定めがある。

第三条<1>当会社は保険契約締結の当時保険契約者、記名被保険者(車両条項においては被保険者とします。)またはこれらの代理人が故意または重大な過失によつて保険申込書の記載事項について知つている事実を告げなかつたとき、または不実のことを告げたときは、この保険契約を解除することができます。

<2>省略

<3>第<1>項の解除は将来に向つてのみその効力を生じます。ただし、その解除が損害または傷害の発生した後にされた場合でも、当会社は責任を負いません。

(2) 原告が本件保険契約締結の際被告に告知した事実及び事故後の被告の調査によつて判明した事実は前記(一)の(2)のイ、ロのとおりである。即ち、原告は本件保険契約締結の際、保険申込書の記載事項である本件自動車の用途について、自家用でないのに自家用と、また、運転者について伸二が運転免許取得後約二か月であるのに、運転者の経験年数は一年以上である旨虚偽の事実を告知したのであるから、原告には告知義務違反がある。

(3) 被告の業務代行者であるAIU株式会社札幌支店長立岩恒は昭和五二年一一月二八日頃原告に到達した文書で、本件保険契約を告知義務違反を理由として解除する旨の意思表示をした。

(三)(1) 本件保険約款第四章一般条項第四条には次の定めがある。

第四条<1>保険契約締結の後、次の事実が発生した場合には保険契約者または被保険者は事実の発生がその責に帰すべき事由によるときはあらかじめ、責に帰すことのできない事由によるときは発生を知つた後遅滞なく、書面をもつてその旨を当会社に通知し、保険証券に承認の裏書を請求しなければなりません。ただしその事実がなくなつた後はこのかぎりではありません。

イ 省略

ロ 被保険自動車の用途、車種または登録番号を変更すること。

ハ、ニ 省略

ホ 前各号のほか保険証券または保険申込書の記載事項に重要な変更を生ずべき事実が発生しかつ危険が著しく増加すること。

ヘ 省略

<2> 当会社は前項の事実が生じたときからその事実がなくなる時まで(前項の承認裏書請求書を受領した後を除きます。)の間に生じた事故については保険金を支払いません。ただし前項ロについては危険の増加が生じない場合はこのかぎりではありません。

(2) 原告は本件自動車を自家用として保険契約を締結していたが、契約締結の後間もなくの頃から本件自動車を営業用の有償運送の用に供し、その用途を変更していた。原告はこの用途変更について前記約款による承認裏書の請求をすることなく伸二をして有償運送をさせ、その間に本件事故が発生したものである。伸二の有償運送の事実は前記(一)の(2)のロのとおりである。

(3) 原告は本件自動車の運転者はすべて運転経験一年以上の者五名であるとして、その旨を塚原に代筆させて保険申込書に記載させた。ところが、原告は本件保険契約締結後、運転免許取得後二か月強にしかならない伸二に、主として本件自動車を運転させ、しかも、伸二に有償運送業務を行わせ、本件事故当時には前記(一)の(2)のロのような無謀かつ危険な長距離運送を行わせていた。このような事実は、運転経験に関する保険申込書の記載事項に重要な変更を生じさせ、同時に事故発生の危険を著しく増加させていると考えられる。原告は右事実について前同様承認裏書の請求をせず、伸二に本件自動車を運転させているうちに本件事故が発生したものである。

(4) 原告には右(2)、(3)の通知義務違反があるので、前記(1)の約款により被告には保険金の支払義務はない。

(5) 本件保険約款第四章一般条項第八条には、通知義務違反がある場合、保険者は保険契約を解除できる旨の約定がある。被告の業務代行者であるAIU株式会社札幌支店長立岩恒は右約定にしたがい、昭和五二年一二月一七日頃原告に到達した文書で、通知義務違反を理由として本件保険契約を解除する旨の意思表示をした。

三  抗弁に対する原告の答弁及び再抗弁

1  抗弁(一)の(1)は不知。

2(一)  同(2)の冒頭の主張は争う。

(二)  同(2)のイのうち、被告が昭和五二年八月一六日被告の道東道北代理店塚原清孝を通じて、原告との間で本件保険契約を締結したこと、原告が函館梱包社旭川営業所長であることは認めるが、その余は否認する。

(三)  同(2)のロのうち、伸二が年齢一八歳で昭和五二年六月八日に普通免許を取得したこと、伸二が本件事故の前夜に築舘保男の依頼により土壌硬化剤を本件自動車で旭川から標茶まで輸送し、事故当日の早朝標茶に到着し、荷を降した後旭川に帰る途中本件事故を起したこと、伸二が築舘の依頼により本件自動車によつて荷物を輸送したことは本件事故のときの外数回あること、原告が昭和五二年一月築舘から本件自動車を代金一〇〇万円で買受け、同年二月から毎月五万円宛月賦で支払い、同年七月本件自動車の引渡を受け、原告において車検の切換手続をすませ、その頃から伸二に運転練習をさせていたこと、伸二が本件自動車を函館梱包社旭川営業所への通勤のため使用したこと、本件自動車が右営業所の業務に関して使用されたことがなかつたことは認め、その余は否認する。

(四)  同(3)は争う。

3(一)  同(二)の(1)は不知。

(二)  同(2)のうち、原告が本件保険契約締結の際被告に告知した事実及び事故後の被告の調査によつて判明した事実に対する答弁は右2の(二)、(三)のとおりである。その余は争う。

(三)  同(3)は認める。

4(一)  同(三)の(1)は不知。

(二)  同(2)、(3)は争う。

(三)  同(4)は認める。

5  抗弁(二)に対する原告の再抗弁

(一)(1) 本件保険約款第四章一般条項第三条<2>(4)には、当会社が保険契約締結の後、その事実または不実のことを知つた時から、保険契約を解除しないで三〇日を経過した場合は告知義務違反による解除の条項を適用しない旨の約定がある。

(2) 被告代理店塚原は本件事故発生の翌日である昭和五二年一〇月一三日事故現場に赴き、原告から本件事故に関する報告を受け、事実を調査して諸般の事実を知り、同月一四日には被告の深田調査員も現地に赴き、事故の態様、加害車両及び加害者の状況等を調査して事実を知り、北見警察署にも行つて事実を確かめている。被告が告知義務違反を理由として本件保険契約を解除する旨の意思表示をしたのは昭和五二年一一月二八日頃であるから、仮に原告に告知義務違反があつたとしても、事実を知つた時から三〇日を経過した後の解除の意思表示であるから効力を生じない。

(二) 被告は昭和五二年一二月一二日、原告に同日から同五三年一月一二日までの保険料を支払わせ受領している。被告の右行為は、その態度により契約存続の意思表示をしたものであつて、被告の昭和五二年一一月二八日頃の解除の意思表示は効力を生じていない。

6  抗弁(三)に対する原告の再抗弁

自家用から営業用に用途変更になる限界は、保険者に教えてもらわなければ素人ではわからない。被告代理店塚原は両者の限界についての事項を原告に告げず自家用の保険契約をしたものであり、代理店の説明義務の不履行があるから(保険募集の取締に関する法律一六条一号末段)、原告に用途変更の通知義務違反の責任を負わせることはできない。

7  再抗弁に対する被告の答弁

(一) 再抗弁5の(一)の(1)は認める。

(二) 同(2)は争う。被告が告知義務違反の事実を知つたのは、被告代理店塚原による昭和五二年一一月八日の原告との面談の結果の報告及び被告が依頼した調査機関である審調社の従業員伊藤勉が同月五日から同月一〇日にかけて原告、伸二、築舘に会つて事情を聴取し、その結果を同月一五日頃被告に報告したときである。

(三) 同(二)は争う。

(四) 再抗弁6は争う。

第三証拠〔略〕

理由

第一  原告の請求原因1ないし7の各事実は当事者間に争いがない。

第二  成立に争いのない乙第一号証の一、二によれば、被告の抗弁(三)の(1)の事実が認められ、他に右認定に反する証拠はない。

第三  成立に争いのない甲第一号証、乙第七号証の二、三、証人塚原清孝の証言(第一回)によつて成立の認められる乙第一二号証、証人伊藤勉の証言によつて成立の認められる乙第一五号証の一ないし四、証人塚原清孝の証言(第一回)、同築舘保男の証言(後記措信しない部分を除く。)を総合すれば、原告は本件自動車を自家用として本件保険契約を締結したこと、原告は昭和五二年八月下旬築舘保男から馬鈴薯の運搬を依頼され、原告の養子伸二に本件自動車により次の1ないし4、6、7のとおり馬鈴薯を運搬させたこと、また、原告は新日本化学工業代理人築舘から次の5のとおり土壌硬化剤の運搬を依頼され、伸二に本件自動車により運搬させたこと、築舘は、運送賃は昭和五二年一〇月末頃一度締切り、原告に対し一日一万五、〇〇〇円を支払う心積りであつたが、本件事故のためそのままとなつたこと、原告は築舘に対し運送の対価として一日二万円位を請求する意思であつたが、本件事故のためそのままとなつたことが認められる。右認定に反する原告本人尋問の結果、証人築舘保男の証言中右認定に反する部分は、前掲各証拠に照らしてたやすく措信し難く、他に右認定を動かすべき証拠は存しない。

1  昭和五二年八月二九日馬鈴薯三〇キログラム入り一二〇袋を北海道空知郡上富良野町から旭川市まで

2  同年九月七日同物品八二袋を同区間

3  同月八日同物品一三七袋を同区間

4  同月一九日同物品一五〇袋を同区間

5  同月下旬土壌硬化剤一〇〇袋を旭川市から北海道川上郡標茶町まで

6  同年一〇月三日1と同物品一〇〇袋を1と同区間

7  同月六日同物品一二二袋を同区間

右事実によれば、本件自動車はおそくとも昭和五二年一〇月六日頃には営業用に使用されていたものというべく、前記本件保険約款第四章一般条項第四条<1>のロにより、原告は被告に対し用途を変更した旨通知し、保険証券に承認の裏書を請求しなければならなかつたものであり、本件事故は原告が右通知等をしていない間に発生したものであるから、前記本件保険約款第四章一般条項第四条<2>により、被告は保険金の支払義務を負わないといわざるをえない。

第四  原告は、被告代理店塚原において自家用と営業用との両者の限界についての事項を原告に告げなかつたから、説明義務の不履行があると主張するが、前記乙第一二号証、証人塚原清孝の証言(第一回)によれば、塚原は昭和四五年大同生命保険会社旭川支社に入社したが、原告はその三日程前に入社していて、共に指導所長の地位にあつたこと、原告は一年程で退職したこと、本件保険契約の締結に際し、塚原は原告に対し、白トラ行為があると保険の対象にならない旨話したこと、原告は勤務先である函館梱包社旭川営業所の前任者の営業所長が白トラ行為により問題を起したことを塚原に述べたことが認められ、他に右認定に反する証拠はない。右事実によると、被告代理店塚原に説明義務の不履行があるとはいい難い。

第五  以上によれば、原告の請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がないといわざるをえないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 松原直幹)

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